こんにちは、つかさです。
みなさんは「即戦力を求めます」という言葉を聞いたことはありますか?
そろそろ高校2年生や大学3年生の方たちが就職活動に向けて、多くの企業にエントリーをしたり、履歴書を書いたりすると思います。
しかし、「即戦力」とは一体何でしょうか?
さらに、新卒に即戦力を求める企業は本当に大丈夫なのでしょうか?
今回の記事では次の3点について解説します。
今回の記事で分かること
✅新卒に「即戦力」を求めることが間違っている3つの理由
✅日本の社会が「即戦力」を求める2つの理由
✅新卒に即戦力を求める会社にエントリーするとはどういうことなのか
今回の記事を新卒の人たちが読めば、「本当にこの企業でやっていけるのかなぁ」と立ち止まって考えることができるかもしれません。
また、企業側の人事課の方も「そんな的を得たこと言わないで( ゚Д゚)」と感じていただけたらいいです笑
目次
「即戦力」とはいったい何か
就活生のみなさんは、即戦力というキーワードを目にしたことがありますか?
即戦力とは、1から丁寧に教えることをしなくても、周りと同じように仕事をして、成果を上げる人物がもつ能力のことです。
もちろん、会社の中の環境や、必要な道具やファイルの場所について教える必要はあります。
しかし、スキルという面から見たときに、周りと同じだけの仕事ができる人を「即戦力がある」と表現します。
転職でない新卒にまで即戦力を求める会社は少なからずあります。
僕はあくまで「新卒に即戦力を求めることは間違っている」と思っているだけで、「即戦力を求める会社は間違っている」とは思っていません。
転職者に即戦力を求めることは有効な手段です。
その人も経験を生かせるし、会社にとっても利益になるのでWin-Winというやつですね。
何度も言いますが、僕は新卒に即戦力を求めることが間違っていると思います。
続けて解説します。
新卒に即戦力を求めることが間違っている3つの理由
多くの新卒は高校や大学を卒業したばかりで、社会のことをあまり知らない人が多いです。
残念なことに、日本の義務教育では社会のしくみなどについてはあまり教えられません。
いや、指導要領には組み込まれていますが、社会や会社についてじっくり時間をかけて教えるほど、内容にゆとりがないのです。
義務教育や高等教育を受けた「学生」が「新卒」となり、その方々に即戦力を求めることが間違っている理由は次の3点です。
高校や大学で会社とは全く関係ないことを教わっている可能性が高い
そもそも、「会社」にはどんな種類があるのかを知らない学生が大多数です。
おそらく、株式会社と有限会社のちがいも知らないのではないでしょうか。
- 一部上場しているかどうか
- 会社という組織がどのような経営で成り立っているのか
- 経済がどのように動いているのか
これらについて、しっかり理解したうえで就職活動をする新卒は少ないと思います。
「新卒の勉強不足」もあるかもしれませんが、「学校で教わらない」ことも原因の1つであると思います。
このような背景があるにもかかわらず、「即戦力になれる新卒を募集します( ゚Д゚)」という企業が少なからずあります。
また、学校の先生も常に即戦力が求められているそうです。
大学で教育実習などを経験していますが、所詮は数週間の実習です。
それだけでは即戦力が身についたとは到底思えません。
新卒や学生は社会のことについて何も知らされない状態であるため、即戦力になることは厳しいのです。
経験あってこその「戦力」
人は経験して、失敗をして、反省して、成長します。
つまり、戦力になるためには数年をかけて経験や失敗を繰り返し、自分なりのスキルや技術を磨く必要があります。
ところが、新卒の人は社会人として、会社での仕事で経験や失敗はしていません。
- その業種において、どんなことに気を付ければいいのか
- 違う会社の方とどのようなコミュニケーションをとればいいのか
- パソコンやプログラミングのスキルを身に付ける機会はあったのか
どんなに仕事ができる人でも、最初は誰もが「初心者」です。
その人たちもたくさんの経験と失敗を重ねてきたことによって、仕事ができる人になったはずです。
新卒にはそれがないことを十分承知の上で採用することが大切ではないでしょうか。
「即戦力になれるようにがんばります」という謳い文句を言わなければならない
残念なことに、新卒の方々はとにかく「内定」がほしいはずです。
「新卒」という「ブランド」を最大限生かせるチャンスは1年しかありません。
何としても、その年に1つでも多くの会社から内定をもぎ取らなければなりません。
「即戦力になる方を募集します」と書かれた企業でも、新卒の人は「即戦力になれるようにがんばります」と言わざるを得ません。
そのように言わなければ「内定」をもらえないからです。
結局、面接で上手に話せる人が生き残りやすいのも事実でしょう。
新卒が上っ面に「即戦力」という言葉を発しやすい環境がよろしくないのかもしれません。
Point
- 学校では会社や社会のしくみについてはあまり教えられていないにもかかわらず、即戦力を求めるのはおかしい
- 誰もが最初は「初心者」であり、現在戦力となっている人は必ず過去の「経験」や「失敗」が生かされている
- 新卒はとにかく内定をもらいたいために、「即戦力になれるようにがんばります」という謳い文句を言わざるを得ない
では、なぜ日本の社会が即戦力のある人材を求めるのでしょうか。
日本の社会が即戦力を求める2つの理由
転職者にとって、即戦力を求めることには賛成です。
転職する人も自分のスキルを最大限活用できるし、会社も改めて新人を育てる必要もないので、Win-Winの関係でしょう。
しかし、その波形が新卒にまで降り注ぐようになりました。
なぜ、日本の社会が即戦力を求めるようになったのかについて、次の2つを解説します。
社会が新人を教育する余裕がない
団塊世代の人たちがそろそろ定年退職を迎える時期です。
つまり、日本の社会は大量退職&大量採用というタイミングに差し掛かります。
(いや、すでに差し掛かっていますね)
団塊世代の人たちが退職することによって、仕事のノウハウを継承できる人材が少なくなるということです。
団塊世代の人たちを再雇用で雇えることができればいいのですが、定年退職後に働きたいと思う人ほど、「会社で甘い汁をすすっていた」人の方が多い印象です。
これは僕の完全な偏見ですが、仕事ができる人ほど、定年退職後はゆっくり過ごす傾向があると思います。
結局、大量退職によってたくさんの新人を教育する余裕がなくなっているのです。
教育にはたくさんの時間と労力とお金が必要です。
- 新人から戦力になるまで最低でも1~3年かかる
- ベテラン1人で面倒を見ることができる新人は数人(もちろん、ベテランに与える仕事は新人教育の影響で減るはずです。僕ならそうします)
- 仕事のノウハウ以外にも、研修やセミナーに参加してもらうために、経費を使って新人を育成する
このように、新人1人を戦力になるまで育て上げることは非常に大変なことです。
そこに労力をかけることができないほど追い詰められた会社が「新卒」に「即戦力」を求め始めるのかもしれません。
育てた新人が巣立つと会社にとって損しかない
せっかく育てた新人が「転職」してしまうと、また1から新人を育てなくてはいけません。
それなら転職しないように、会社の福利厚生や労働環境を改善する必要があるはずですが、それでも転職者はいることでしょう。
しかし、即戦力の人材が会社に入ってこれば、会社にとってダメージは少なく済みます。
もともと、他の企業で育てられた人材を手に入れ、その人を教育することなく、雇うことができるからです。
さらに、即戦力として働いた人が再び転職したとしても、その人に教育資金などのお金をつぎ込んでいないため、会社にとっての損は少なくなります。
Point
- 新人を戦力になるまで育てるためには時間・労力・お金がかかるため、その費用を最小限に抑えたいから即戦力を求める
- 必死に育てた新人が転職したり、辞めたりしたら、また1から教えるために時間・労力・お金を使って育て上げなければならないため、会社は損をしてしまう
この記事を読んでいる新卒や学生の人たちはそろそろわかってきたのではないでしょうか。
「即戦力」を「新卒」に求める会社がどのような労働環境になるかを。
新卒に即戦力を求める会社にエントリーするとはどういうことなのか
ここまでの内容を踏まえると、新卒に即戦力を求める会社にはきっと内部事情がたくさんあるかもしれません。
- 経営難でお金をかける余裕がない
- 団塊世代の大量退職に太刀打ちできていない
- そもそも新人教育に時間・労力・お金をかけたくない
あなたがエントリーする会社は大丈夫ですか?
もし、内定をもらっても、本当にその会社で働いていく自信はありますか?
もちろん、嫌なら転職すればいいです。
しかし、せっかく新卒として働く会社なのですから、働きやすく、やりがいのある会社の方が良いと思います。
僕みたいな若者がこんなことを言うのもなんですが、今は「働く人が会社を選ぶ」時代です。
ただし、「わがままばっかり言う」人はどこに行ってもダメです。
真剣に仕事と向き合える人が「権利」を主張するのは何も問題ないはずです。
転職が当たり前の社会へ
終身雇用という制度は終わりを迎えようとしています。
他国から見て、日本の終身雇用という制度は非常に好評のようですが、終身雇用にはデメリットが多数あります。
- 仕事ができなくてもクビにならない
- 年功序列で、仕事ができない定年間際のおじさまが、仕事ができる若者より給料が高い
- 権力だけあって、仕事ができない人のもとで仕事をしなければいけないときがある
このような条件に嫌気がさした人たちが、自分たちで会社を立ち上げ、どんどん勢力を伸ばしてきています。
それに気づいた大企業や中小企業が終身雇用という制度を見直す動きがみられ始めました。
実際に、「トヨタ」の社長は「終身雇用は終わりの時代だ!」と明言したそうです。
ただし、僕は最初はちゃんとした企業に勤めた方が良いと思っています。
そこでスキルや技術を身に付け、ある程度社会の波にもまれることを知っておくべきだと思います。
そして、「そろそろ独立したいなあ(・ω・)」とか、「もっと働きやすい会社が良い( ゚Д゚)」となったときに、転職すればいいと思います。
そして、そのときに自分のスキルや技術を生かせるように、「即戦力」を求めている会社に転職してみましょう。
最初から給料が良いかもしれないし、ダメならまた次につなげればいいと思います。
アメリカではすでに転職するのが当たり前の時代になっていて、1人当たり平均で5回以上転職するそうです。
日本もそろそろそのような時代がやってくるかもしれませんね。
まとめ【新卒を丁寧に育ててくれる会社がきっとあるはず】
今回の記事では次の3点について解説しました。
今回の記事では解説したこと
- 新卒に「即戦力」を求めることが間違っている3つの理由
- 日本の社会が「即戦力」を求める2つの理由
- 新卒に即戦力を求める会社にエントリーするとはどういうことなのか
そもそも新卒とは社会に出て間もない人間であることを理解しなければならない
義務教育や高等教育は社会人になるための勉強や研修などはしません。
どれだけ勉強ができて、高学歴の人物でも社会に出れば誰もが初心者です。
また、現在どんなに仕事ができる人でも、最初は初心者です。
新卒は社会の初心者であり、即戦力になることを期待してはいけないし、求めてもいけないと思います。
もちろん、新卒も一生懸命努力するべきでしょう。
しかし、最初から戦力になることは不可能に近いはずです。
新卒は時間・労力・お金をかけて初めて「戦力」になることを日本の社会はもっと理解するべき
新しいことに挑戦するとき、たくさん練習をするはずです。
スポーツなども、時間・労力・お金をかけて上手になっていきます。
新卒も同じで、しっかりとした教育を受けさせるような環境をつくらねばなりません。
それをケチって、最初から新卒に求めるような会社の未来は暗いのかもしれません。
新卒に即戦力を求める会社を本当にエントリーするんですか?
こんな条件の会社があったとしましょう。
- 完全週休2日制
- 1日8時間勤務
- 新卒もしくは大学を卒業して3年以内
- 初任給28万円
- 即戦力を求めます
この記事を読んでくれた方なら、「ん?新卒に即戦力を求めてる( ゚Д゚)?」と考えることができるはずです。
僕は「即戦力になるかどうかわからないけど、とりあえずやってみるか!」という考え方は全然OKだと思います。
「若いうちの苦労は買ってでもやる」というのはあながち間違いではないです。
しかし、新卒に即戦力を求める会社は本当に新卒を大切に扱ってくれるのでしょうか?
即戦力になれず、会社で厳しい立場に立たされたとき、そのストレスに打ち勝てますか?
「新卒&即戦力」というキーワードを見かけたときには、少し立ち止まって考えてみるのが良いと思います。
さいごに
どんなに良い労働条件でも、悪い労働条件でも、就職した以上は責任をもって仕事に取り掛からなければいけません。
たまに「権利」ばかり主張する人がいます。
しかし、そういった人たちに限って、仕事と向き合わない人が多いです。
仕事はしっかり果たしましょう。
そのうえで、可能な限り権利を交渉してみることが大切です。
無能のレッテルを貼られた人が騒いだところで、だれも反応してくれません。
「戦力」になることができた人が、権利を主張することに意味があると思っています。
そのために、どんな会社に勤めても、まずは自分にできることを探してみましょう。
その中で、「ぜってぇ合わないわ、この会社(・_・)」と思うのなら、転職を考えればいいです。
先ほども解説した通り、終身雇用という制度は終わりを迎えています。
いつまでも新卒で就職した会社にしがみつく必要もありません。
自分に合った会社を見つけること、自分の会社を立ち上げること。
道はいくらでもあります。
さいごは自分で判断して、行動に移しましょう。
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